国語の土台は話し言葉から。幼児期から育てたてたい「言葉をつなげて話す力」

03:学びのサポート
ふゆ
ふゆ

子ども達を教えていると、ふと気になったことから記事にしました。
話し言葉についてちょっと気になる方は読んでみてくださいね!

小学生の子どもたちを教えていると、気になることがあります。それは、伝えたいことを、言葉にして話すのが難しい子がいることです。

たとえば、こんな場面です。

「先生……」

そう呼んだあと、言葉が続きません。本当は、

  • 「先生、鉛筆を忘れたので貸してください」
  • 「先生、上靴を忘れたので貸してください」
  • 「先生、トイレに行ってもいいですか?」

と言いたいのかもしれません。大人には簡単に思えますが、子どもにとっては、知っている言葉を組み合わせて一つの文にするのは、意外と大変なことなんです。

もちろん、理由は一人ひとり違います。何と言えばいいのかわからない子もいれば、言葉を組み立てるのに時間がかかる子、話しかけること自体に緊張する子もいます。

🎀 私が大切にしていること

「先生……」で止まってしまう子には、その都度、言う言葉を教えるようにしています。そうやって、伝える言葉を少しずつ増やしてきました。

特に大事にしているのは、「お願いする言葉」です。「貸してください」「教えてください」「手伝ってください」。これは、自分が困ったときに、助けを求めるために使える言葉だからです。

💡 大切な考え

国語の学習の土台は、「話し言葉」です。ひらがなや漢字を覚える前に、毎日の会話の中で、子どもの言葉の力は少しずつ育っています。

国語というと、ひらがなを読んだり、漢字を書いたり、文章を読んだりする勉強を思い浮かべる方が多いと思います。でも、その土台にあるのは、自分の知っている言葉を増やし、言葉と言葉をつなぎ、相手に伝わるように話す力です。

この力は、幼児期の日常の会話の中で育っていきます。子どもの発達にとって、毎日の何気ないやりとりは、とても大切な時間なんですね。

幼児さんの言葉を聞いていると、「伝えたいことはあるのに、どう言えばいいんだろう?」と困っているように感じることがあります。だからこそ、言葉で表現することに抵抗がなく、自由に使えるようになってほしいなと思うのです。

① まずは「言葉の数」を増やそう

幼児期の子どもは、興味を持ったものを指差して「あれなあに?」「これなあに?」と聞いてきますよね。「また聞いてる…」と思うこともあるかもしれません。でもこれは、子どもが言葉を増やしていく大切なチャンスです。

「これはりんごだよ」「赤い車だね」「大きな犬がいるね」

身の回りのものには名前があると知り、その名前を覚えていく。そして、色や形、大きさ、動きなど、ものの様子を表す言葉も少しずつ知っていきます。

🌱 言葉をひとつ足して返してみよう

子どもが「車」と言ったら…

「赤い車だね」

「大きな車だね」

「車が走っているね」

少しずつ言葉を足すだけで、子どもの知る言葉の世界はぐんと広がります。

言葉を知ることは、自分の周りの世界を、より細かく理解することにもつながります。子どもの学習の入り口は、こんなふうに身近なところにあるんですね。

② 言葉と言葉を「つなげる」経験を

言葉を覚えていく中で、言葉と言葉をつなげる経験も大切です。

たとえば、子どもがお菓子を指差したとします。おうちの人がすぐにお菓子を渡せば、子どもの要求は叶います。指差しで伝えられることも、もちろん大切な成長のひとつです。

ただ、そこでほんの少しだけ言葉を添えてみてほしいのです。

🎀 こんなふうに返してみましょう

「お菓子」 → 「お菓子ちょうだい」

「コップ」 → 「コップ取って」

子どもがまだ同じように話せなくても大丈夫。大切なのは、何度も言い直させることではなく、自然な会話の中で言葉のつながり方に触れることです。

何度も聞くうちに、「こうつなげると、思いが伝わるんだな」と、子どもは少しずつ学んでいきます。

年齢によって、返し方のコツも少し変わります。言葉の育ちには個人差があるので、あくまで目安として、こんなふうに考えてみてください。

🐶 1〜2歳からの声かけ

子ども:「わんわん いる」

子ども:「お花 さいている」

→ 「犬が いるね」「お花が さいているね」と返してみましょう。

「犬が」「お花が」のように、「何が」「だれが」を意識して聞かせてあげるといいですね。

お子さん自身が「が」を使えるようになるのは、もう少し先で大丈夫。まずは、聞かせることから始めましょう。

🌸 3〜4歳からの声かけ

3語、4語のお話ができるようになってきたら、様子を表す言葉を入れてみましょう。

「お花がきれいにさいているね」

「〇〇ちゃんは、とても速く走れるね」

「どんなふうに?」「どのくらい?」を意識して言葉を足していくと、子どもの表現は、ぐっと豊かになっていくかもしれません。

③ 自分の思いを「言葉にする」

そしてもうひとつ大切なのが、覚えた言葉や文を使って、自分の思いや状況を表現することです。

「嫌だ」「楽しかった」「これが欲しい」「一緒に行きたい」。こうやって気持ちを言葉にして伝える経験が、子どもの発達を支えてくれます。

そのために役立つのが、子どもの言葉を受け止めて、少し広げて返してあげることです。

🌼 会話を広げる声かけ

子ども:「楽しかった!」

おうちの人:「何が楽しかったの?」

おうちの人:「お友達と遊んだのが楽しかったんだね」

一言で話したことを、大人が少し詳しい言葉にして返す。それを繰り返すことで、自分の経験や気持ちを具体的に表現できるようになっていきます。

おうちの人、言葉が足りなくても動いていませんか?

毎日の生活の中で、子どもが指差しただけで、何を求めているのか察して動いていませんか?

「あれ!」と言われたらすぐ取ってあげる。「ねえ!」と呼ばれたら、何をしてほしいのか先回りして動いてしまう。

……じつは、私にも身に覚えがあります。忙しい毎日の中では、そうなってしまう場面がたくさんありますよね。それは愛情があるからこそで、悪いことではまったくありません。

でも、時には少しだけ言葉を添えてみてください。

💬 こんな言葉を添えてみて

「お菓子ちょうだい、だね」

「これ見て、だね」

「一緒に遊んでほしいのかな?」

子どもの言葉を否定せず、今の言葉に少しだけ足して返す。それだけで、新しい言葉や文の組み立て方に触れるきっかけになります。

言葉を話すことを無理に求める必要はありません。指差しや身振りも、大切なコミュニケーションです。

おうちの言葉は、園や学校に出てくる

子どもたちを見ていると、家庭でよく聞く言葉が、保育園・幼稚園・学校でそのまま出てくるなあと感じます。

たとえば、こんな言葉です。

  • 「先生、〇〇してくれてありがとう」
  • 「私、そう言われると元気になります」

こんなふうに、ありがとうの気持ちや、うれしい気持ちを素直に言葉にできる子は、おうちでも、そんな声をかけてもらっているのだなあと思います。

✨ 素敵な言葉は、おうちから

子どもは、身近な大人の言葉をそのまま吸収します。だからこそ、良い言葉、素敵な言葉に変換して伝えられたらいいですね。その言葉が、子どもの心にも、まわりの人との関わりにも、やさしく届いていきます。

毎日忙しいと、つい強い言葉が出てしまう日もありますよね。そんなときは、気づいたときに素敵な言葉に言い換えてみる。それだけで十分です。

幼児期の話し言葉は、小学校の国語につながる

幼児期に育つ話し言葉は、小学校での国語の学習にもつながっていきます。

  • 言葉の意味を知っていること
  • 言葉と言葉をつなげて文にできること
  • 自分の考えや経験を、相手に伝わるように話せること

これらは、文章を読んで理解したり、自分の考えを書いたりするための土台になります。学校生活でも、自分の状況を説明したり、先生や友達と話したりする場面で、きっと役に立ちます。

毎日の言葉のやりとりを大切に

言葉を知ること、つなげること、思いを表現すること。この3つは、別々に育つものではありません。毎日の会話の中で、お互いに関わり合いながら、少しずつ育っていきます。

だからこそ、特別な教材はいりません。食事や遊び、お出かけの中で、子どもが使っている言葉に、ほんの少し意識を向けてみてください。

  • 子どもは、どんな言葉を使っているかな?
  • どんな言葉は、まだ知らないかな?
  • どんなふうに、言葉をつなげているかな?

そして、ときどき自分自身にも目を向けてみてください。私たち大人は、どんな言葉で子どもに話しかけているでしょうか。大人の使う言葉は、子どもが言葉を覚えていく大切なお手本です。

🌈 言葉の力は、生きる力

自分の気持ちを言葉にできること。
自分の考えを相手に伝えられること。
必要なときに、自分の言葉で人とつながれること。

私は、こうした力が、子どもが自分らしい人生を歩んでいくうえで、とても大切だと思っています。国語の力を育てることは、言葉を覚えたり、読み書きができるようになったりするだけではありません。自分の思いを言葉にして、自分らしく生きていくための土台を育てることでもあるのです。

毎日の何気ない会話を、ぜひ大切にしてくださいね。子育ての中の小さな言葉のやりとりが、子どもの学習や発達を、そっと支えてくれます。

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